パルセータ―は容器の底部に回転羽根とカバーが一体で取り付けた翼のことで、いわゆる縦型洗濯機の翼です。産業用撹拌機では、容器の底面中央には処理液排出口があることや邪魔板を兼ねて偏芯し斜めに取りついており、回転方向の流れに加え遠心方向(半径方向外側)への流れがあります。容器底面に翼が取り付いているため低容量でも撹拌が可能なことやある程度の分散力が期待できることが特徴で、主に溶解槽として利用されています。
今回はパルセータ―による希釈混合として、はちみつと水の撹拌を次のミキサー条件でCFD解析し、希釈混合の様子を観察しました。
翼先端周速 V tip[m/s] | 6.6 |
処理液 | はちみつ:水 |
粘度[Pa・s] | 10:0.001 |
密度[kg/m3] | 1,400:1,000 |
希釈混合メソッド | 圧縮項なしVOF |
気液界面 | 固定 |
処理液の希釈粘度を次に示します。希釈粘度は濃度が50%の場合に粘度も50%になるというものではなく、物質固有の値を示すため測定して、設定することが基本となります。一方密度は濃度が50%の場合に密度も50%になります。
処理液の密度と流速、動力について、経過時間で観察した結果を示します。密度の変化の様子から、パルセータ―が容器上層にある水を中心から吸い込み、遠心方向へ吐出することで、希釈混合される様子がわかります。流速の変化の様子から、希釈混合が進むと容器上層まで流れが及び全体が混合されています。また、動力の変化から希釈混合とともに動力が低下していく様子もわかります。これらのことから、この条件によるはちみつと水の希釈混合は、短時間で完了すると考えられます。
最後に以上の結果を動画にまとめたものを示します。
今回はパルセータ―による希釈混合をテーマにCFD解析しました。物性の異なる処理液についても解析可能であることが、わかったと思います。CFD解析では撹拌挙動を可視化することで直感的な理解が容易にできるメリットがあります。一方CFD解析はコンピュータによる架空のシミュレーションであることから、なんらかの妥当性検証が不可欠です。今回の例では処理液のサンプリングなどにより検証が可能と考えられます。