アンカーミキサーによる混合その1では、アンカーミキサーの中でも最も形状の単純なフラットアンカーをご紹介し、高粘度処理物で軸方向への流れが少なく混合に時間を要する結果でした。次に示す掻き下げアンカーと掻き上げアンカーは、これらの課題を解決したミキサーです。
前回と同様にCFD解析に影響を及ぼさない粒子マーカーを用い、今回は処理液粘度10 Pa・sのみで混合性等を確認しました。
翼先端周速 V tip[m/s] | 1 |
処理液粘度 [Pa・s] | 10 |
密度[kg/m3] | 1000 |
撹拌レイノルズ数 Re[-] | 17 |
粒子マーカー | 質量体積なし |
粒子マーカー 開始タイミング | 流れ形成後 |
粒子マーカー初期位置上側について、経過時間で確認した結果を次に示します。粒子マーカーの移動から、フラットアンカーでは決まった方向への流れが確認できませんが、掻き下げアンカーと掻き上げアンカーでは図の矢印の方向への流れがあり、粒子マーカーが容器底部へ短時間で到達しています。
次の図は粒子マーカー初期位置下側について、同様に確認したものです。掻き下げアンカーと掻き上げアンカーで粒子マーカーが液面付近へ向かっています。これらのことから掻き下げアンカーは、半径方向の外側で下降流があり、半径方向内側で上昇流があるフローパターンで、一方、掻き上げアンカーは、逆に半径方向外側で上昇流があり、半径方向内側で下降流があるフローパターンであることがわかります。
最後に以上の結果を動画にまとめたものを示します。
今回はアンカーミキサーによる混合をテーマにCFD解析を行いました。アンカーミキサーの形状の違いによるフローパターンをイメージができたと思います。掻き下げアンカーと掻き上げアンカーのどちらが有効であるかについてなどは、撹拌の目的や処理物、サイズスケールによって変わり一概に判断できません。ぜひ弊社へご相談いただければ幸いです。CFD解析は、撹拌挙動を可視化することで直感的な理解が容易にできるメリットがある一方でコンピュータによる架空のシミュレーションであることから、なんらかの妥当性検証が不可欠です。今回の例では処理液のサンプリングなどにより検証が可能と考えられます。